最近、橘玲氏の書籍が面白く、毎日のように、アマゾンキンドルで本を購入しては読んでいます。人間に対する冷徹な視点はとてもロジカルで人生攻略に役に立つと思い楽しんでいます。
そこで、今回は氏の著作『言ってはいけない』をレビューしようと思います。
概要
行動遺伝学という学問を中心に、書かれていますが、これはある人の能力や性格など個性は、遺伝の影響なのか、あるいは環境によるものなのかを分けて考え、その影響の強さを比較できるように数字で表したものと言えると思います。
自分が自分らしく幸福に暮らすためには、今生きている世界や自分のことを知る必要があると思いますが、その意味で、ラディカルだが同時にもっとも大切な学問の一つと言えるかもしれません。
この本に貫かれている考えは、
橘氏のこの言葉に表れています。
「ひとは幸福になるように生きているけれど、幸福になるようにデザインされているわけではない。」
自由と平和を享受できる現代、幸福に生きるためには自分の得意なこと、好きなことに集中し、限られた時間とお金を使うべきだと思っています。
幸福にデザインされているわけではないのであれば、まだ「幸福になりやすいものにリソースを集中」するべきなのでしょう。
特に心に残ったのは以下の部分。
- 論理的推論能力の遺伝率は68%!、一般知能(IQ)で77%!
- 知能の違い、つまり頭の良し悪しの7割~8割は遺伝で説明できる
- 統合失調症と双極性障害は遺伝率が82%前後。身長や体重の遺伝率よりも高い。
- 子供の極端な異常行動に親ができることはほとんどない。あるとすれば、たまたまその「遺伝子」を自分が持っており、それを子供に伝えたことである。
- 一卵性双生児の研究で、どちらも養子に出されて全く違う街で違う養親に育てられたのに、どちらも思春期になると徘徊し、非行のために何度も施設に収容されていた。
- ユダヤ人で知能が高いのは、ユダヤ人の一部でアシュケナージ系のみ。金融を中心に仕事をしていた。
- 白人と黒人の知能(IQ)はそれぞれ100と85。なんと1標準偏差の違いもある。
- 新上流階級は、政治的信条の同じ労働者階級よりも、政治的信条の異なる新上流階級と隣同士になることを好む。
- 白人社会でも、知能によって格差が断絶している。アメリカは人種による分団というより知能による分断である。
- 税金が投入されている以上、教育費無償化をするのであれば、教育による効果を教育関係者側が証明すべき。
- 知識社会とは知能の高い人間が低い人間を搾取する社会。
- すべての国で、実親に比べ、継親による子供の虐待と殺害は際立って多い。チンパンジーでも見られる。
- 男にとって、最もの大きな進化的損失は他人を子供を知らずに育てさせられること。夫婦間の殺人の大半は夫の妻への嫉妬。
- 殺されやすいのは若い女性。繁殖力が高く、その分価値が高く、より嫉妬を掻き立てやすい。
- 反社会的な子供は安静時心拍数が低い。発汗しない子供は良心を学習できない。
- 賢いサイコパスと愚かなサイコパス。共通点は安静時心拍数の低さだが、違いとして、興奮時心拍数が上がるのが賢いサイコパス、変わらないのが愚かなサイコパス。
- 胎内での汚染物質により生まれてからの犯罪率が上がる。妊婦のタバコやアルコールも。
- 写真からも性格が分かり、驚くほどあっている。
- 知性は外見から判断できる。
- 話しているときに相手の目を見る人は知的なイメージを与えるが、実際に知能が高い。
- 顔の幅が広い人はテストステロンが高く、大昔から面長の顔の男を殺してきた。
- 美とは、顔の対称性と肌の滑らかさ。女性はウエストのくびれ。
- 身も蓋もないが、美人は幸福な人生を歩み、不美人は貧しくて不幸な人生を送る傾向。
- 女性よりも男性の方が美貌格差が大きい。
- テストステロンの影響は外見に表れる。
- オキシトシンはコカインよりも強力。授乳中の母親は早く家に帰りたくてうずうずする。
- オキシトシンは幸福ホルモンだが、セックスや恋愛でも出る。ホストにハマる愛情中毒の女性。
- 女性は男性よりも幸福度が高い。しかし男に比べて自信がない。
少し長くなりすぎました。
行動遺伝学の研究から分かったことや分かりつつあることがこれほど列挙されていて読む手が止まりません。
僕は、自分が幸福になるためには「世の中の仕組み」「人間の仕組み」を知るべきだと思っています。
読書は学校では教えられない知識がどんどん得られますね。
この本は本当にオススメなので、ぜひ一読してみてください。
言ってはいけない―残酷すぎる真実―(新潮新書)